毎日麺類

19歳。僕の話と映画感想の両方。ネタバレします。

『カモン カモン』

6月7日『カモン カモン』を見ました(3回目)。僕は最初この映画を公開当初に見て、ものすごく好きな映画だと感動して、それから半年ぐらい経ってU-NEXTのレンタルでまた見直しました。そして今日、Netflixで見放題になっていたため3回目の鑑賞です。

 

僕の今の精神状態は少し不安定で、朝起きたら涙が溢れちゃったりしました。なんとか安定させなきゃという気持ちはあるけれど、どうすればいいかわからない。だから僕はこの好きな『カモン カモン』という映画を見ようと思ったわけです。正直、完全に心が救われたというわけではなかったけれども、救われるヒントを貰えたような気がしました。この『カモン カモン』の作中に出てくる言葉のひとつひとつで、深く語りたいこと、語らないといけないことがあります。それを全て語るとものすごく長文になってしまうため、少し絞って僕が思ったことをここに記したいと思います。

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まず冒頭に主人公のジョニーが、子供や若者にインタビューで色んな質問をするところから始まります。その質問の前に「回答に正しいも間違いもない」や、「質問が嫌なら断ってもいい」と前置きを置きます。この姿勢はとても大切なことだと思いました。ちゃんとジョニーは、人にマイクを向けて質問をして答えさせるということの暴力性に気づいていて、なるべくそれを相手に感じさせないよう配慮している。

 

ここで個人的な話になるのですが、僕は映画を作りたくて、映画について学校で学んだり制作したりしています。その製作中に、役者に台本に書いてある台詞を言わせて感情を出させる事に対して、もの凄く辛い時があります。僕は撮影を担当することが多いのですが、僕が回したカメラで役者が記録されてしまって見た人が画面に映った役者を評価してしまう。これは本当に責任が伴うことで、怖いことで、暴力的なことだと思っています。だから、なるべく僕らは映画を作るときに役者に配慮をしないといけない。それをちゃんとこの映画の冒頭に示してくれた。そこがまずこの映画に惹きつけられたポイントだと感じました。

 

この映画に出てくる子供は、すごく質問の回答が賢いなと感じました。ちゃんと街の事や、自分の未来のことを普段から考えているなと。

それはアメリカが政治に関心を持ちやすい環境なのか、もしくは持たないといけない環境になってしまったのかなとも考えさせられました。日本もそのはずなのに、政治や自分の未来に対して無関心な人が周りには多いなと感じます。

だけど本当はみんな普段から考えているけれど、それを話す機会がないのかなとも思いました。だからこのジョニーがやっているインタビューは、子供や若者たちに普段から考えているけど、話せないようなことを引き出す良い機会なのかな。

僕らには SNSがあります。YouTubeをしたり、ポッドキャストをしたり、こうやってブログを書いたり、自分の感情や考えていることを発信するべきなのかなと思いました。

 

理想は僕も他人に面と向かって話したい。僕はそういうことを話せる人がいない。昨日、久しぶりにお母さんに会いに行って、自分のメンタルが今不安定なことを話しました。だけど、僕はネガティブな話をするのが苦手で、心配されるのが怖くてヘラヘラしながら冗談かのように不安定なことを話してしまったから、お母さんにとってはそこまで重大な問題とは受け取られずに軽く流されてしまいました。

僕はあの時、本当に辛いから辛そうな顔をして辛そうはトーンで、本当の感情を言葉にして伝えられていたら、ちゃんと自分のためになるサポートを受けられたかもしれない。なのに僕は自分でそれを放棄してしまった。それが今の僕の大きな悩みの1つで、真剣に茶化さずにネガティブな話ができる人、できるように自分自身がなること。この2つが僕が今、欲しているものなのかなとこの映画を見て再確認させられました。

 

この映画で僕が1番感動したところはジョニーが、甥のジェシーに普段仕事で身に付けている、ミキサーとマイクとヘッドフォンを貸したところです。

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そこでジェシーは初めて音の面白さに感動する。そこは本当に共感できるポイントで、僕は普段映画でカメラを回すから音声は担当しないのですが、使い方を教えてもらってミキサーにマイクをつなげてヘッドフォンで音を聞いたことがあります。その時に人の声がクリアに聞こえたり、街の音が耳元で聞こえてくることがものすごく感動して友達の声ってこんなにかっこよくて落ち着く声なんだなぁとか、人の足音って個性があって面白いなぁって感動しました。

 

普段聞き流している音が尊く感じられた瞬間。それは世界の見え方が一気に変わることで、人生の中でも大大大好きな映画に出会えた後の散歩道くらい世界の見え方が変わった瞬間でした。それをジェシーが感じている顔がたまらなく良くて、可愛くて、僕はこのシーンが大好きです。

 

さらにこのシーンで、ジョニーはジェシーに対して最大のパンチラインを放ちます。

「録音がクールなのは、音を永遠に残せるから」「平凡なものを不滅にするって凄くクールだ。しかも楽しいし。」このセリフはこの映画の中で僕が1番好きなセリフです。

さっき僕は記録すること、残ってしまうことの暴力性について書いたけれど、その反面にものすごく尊いことでもあるというのが、このセリフからわかるからです。

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ジェシーがジョニーに対して、「感情表現は苦手?」と聞いたところや、ジェシー陰謀論が好きなところ。ジェシーとお父さんのシーン。インタビューでの子供の回答とか、本当はもっと語りたいことがあるのですが、さすがに長文になりすぎるので、割愛します。

 

最後に語りたい事は、ジェシーが「僕には友達がいない」と言ったシーンです。ジェシーが言うには「同年代とあまり関わりがなく、いつも大人といるから、僕には友達がいない」とのこと。僕はジェシーに対して、その関わっている大人は友達じゃないのかなと疑問に思いました。ジェシーは大人を友達じゃないと判断していて、同年代で仲いい人が友達だと捉えてるのかなと。だけど、最後ジョニーの背中におんぶされている時にジェシーが「ジョニーは僕の親友」だと言うシーンがあってあそこで大人に友達って言っていいんだと考え方が変化していて良かったです。

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世代とか関係なく、小学生が大人と友達になってもいいし、僕がおじいちゃんとかおばあちゃんと友達になっても良いと思う。友達に年齢は関係ないからたくさんの年齢の人と友達になりたいなと僕は思いました。

 

書いていたら、ジョニーが謝罪の仕方をスマホで検索して、検索結果を見ながらジェシーに謝るシーンとかもっと語りたくてウズウズしてきています。長く定期的に映画とか自分の思考について話せる人が欲しいなぁ。